格安SIMカードと一般的なSIMカードの違いとは?
NTTドコモ、ソフトバンク、auの3強時代が長く続いた日本国内の通信キャリア事情が近年大きく変わってきています。規制緩和とともに通信キャリア業界に新規参入した企業達が続々とリリースする「格安SIMカード」と呼ばれるSIMカードが大きく注目され始めました。
2015年から義務付けられたSIMロック解除で、携帯電話端末と通信キャリアとの紐付けから解放され、通信キャリアに縛られないSIMフリー端末が登場し始めたことに注目し生まれたのがMNVO(Mobile Virtual Network Operator·モバイルバーチャルネットワークオペレーター)と呼ばれる通信キャリアです。
仮想移動体通信事業者という難しい日本語で表されますが、簡単に表現すれば「格安SIMカードキャリア」です。通信サービスを提供するのに必要な通信インフラを新たに設置することなく、既存の大手キャリアの構築した通信回線をシェアすることによって通信サービスを行います。
インフラ整備や点検保守のコストがかからない分リーズナブルにサービスを提供することができるため、格安SIMカードキャリアとして急成長している業界といっても過言ではないでしょう。
今回は大手通信キャリアが取り扱う通話とインターネット通信が可能なSIMカードを「一般SIMカード」、基本的に通話とインターネットを分けてサービス提供しているものを「格安SIMカード」と定義づけて紹介していきます。
現在いったい何社が格安SIMカードサービスを行っているのか?
一般SIMカードを扱う大手通信キャリアの設備をシェア(借り受けて)することで、サービスを提供している格安SIMカードキャリアですが、現在いくつのキャリアがサービス提供しているのかを整理してみましょう。
- LINEモバイル
- DMMモバイル
- BIGLOBEモバイル
- 楽天モバイル
- mineo
- UQモバイル
- NifMo
- IIjmio
- OCNモバイルONE
- イオンモバイル
- U-mobile
- エキサイトモバイル
- DTISIM
- QTモバイル
- b-mobileおかわりSIM
- TONE
- ワイモバイル
なんと現在日本国内では17社ものキャリアが格安SIMカードを扱っています。次に格安SIMカードのメリット、デメリットを確認しながら紹介します。
格安SIMカードのメリットとデメリットとは?
現在日本国内だけでも17社の格安SIMカードキャリアが凌ぎを削っている状態であることは前項で紹介しました。各社が競うようにしてサービスの向上を図っている状態ですが、一般SIMカードから格安SIMカードへ乗り換えた場合のメリットとデメリットを紹介します。
格安SIMカードのメリットとは?
ランニングコストを安く抑えることができる
格安SIMカードの最大のメリットは毎月のランニングコストが下がることです。
提供されるサービスプランがシンプルで判りやすい
データ通信のみかデータ通信と通話のいずれかを選択し、月々のデータ通信量を決めるだけで良いので簡単です。
契約の縛りの期間が短い
一般SIMカードを提供する大手キャリアの多くが採用している2年の契約の縛りが、格安SIMカードの場合は数ヶ月~1年程度と短いのが特徴です。
格安SIMカードのデメリットとは?
キャリアメールが使えない
乗り換え後は@docomo.ne.jpに代表される携帯キャリアメールが使えなくなります。
回線の通信速度が遅い
一般SIMカードを提供する大手キャリアの回線をシェアして使用しているために、通信速度は遅くなります。
通話回線を使用した場合通話料金が高額である
一般SIMカードを提供する大手キャリアでは「1ヶ月最大何分の無料通話」などのパッケージを設定していますが、格安SIMカードの場合通話は30秒毎に課金されるものが多く割高です。
毎月のランニングコストが抑えられることは非常に大きな魅力と言えるでしょう。通信速度の問題は若干気になりますが、日進月歩で回線の通話速度が改善されている現在ではそれほど気になることではないと考えられます。
17社もある格安SIMカードキャリアの分類の仕方とは?
格安SIMカードに乗り換えを検討している場合でも、17社の中から自分に合う格安SIMカードキャリアを見つけ出すのは意外と面倒なものです。ここでいくつかの方法で簡単に格安SIMカードキャリア17社を分類してみます。
通信回線をシェアしている一般SIMカードキャリアによる分類
格安SIMカードは独自の通信回線を持たず、一般SIMカードを提供する大手キャリアの回線をシェアして運営しています。回線をシェアしている大元がどこであるかで分類してみましょう。
ドコモ系キャリア
docomoの回線をシェアして運営するキャリアは次の11社です。LINEモバイル、DMMモバイル、BIGLOBEモバイル、楽天モバイル、NifMo、OCNモバイルONE、イオンモバイル、エキサイトモバイル、DTISIM、b-mobileおかわりSIM、TONE
電電公社の時代から日本の通信インフラを牽引し続けているドコモは、さすが業界最大手といわれるだけに回線をシェアして提携する格安SIMカードキャリアも最多の11社に上ります。
au系キャリア
auの回線をシェアして運営するキャリアはUQモバイル1社です。auと回線シェアの業務提携を行っているのは以外にも1社だけでした。
ドコモとauの併用キャリア
docomoとauの回線を併用してシェアして運営するキャリアは次の3社です。
mineo、IIjmio、QTモバイル
ドコモとauの回線を併用しながらの業務提携は通信エリアの問題を解決できる良い方法だと感じます。両社がカバーする通信エリアは日本国内をくまなく網羅しているといえるでしょう。
ドコモとソフトバンクの併用キャリア
ドコモとソフトバンクの回線を併用してシェアして運営しているのはU-mobileの1社です。ソフトバンク単独での回線シェアの業務提携を結んでいるキャリアはなかったもののドコモとの併用シェアで準ソフトバンク系ともいえるキャリアです。
- 独立回線系キャリア
ワイモバイルは自社の回線を使用する独立したキャリアです。自前の通信インフラを使用するためMVNOではないのですが、コストを抑えたサービス提供を行っているために格安SIMカードキャリアとして扱われています。
現在は随分と改善されましたが、現実的には利用エリアによって電波の強さや回線スピードが異なる状況は未だに存在します。一般SIMカードを提供する大手キャリアの回線をシェアして運営する格安SIMカードの場合は通信速度の問題に直結するので、自分の利用するエリアではどの大手キャリアが強いのかを確認しておくことは必要です。
キャリア乗り換え時の注意点!使用用途に合った格安SIMカードの選び方とは?
格安SIMカードに乗り換えたからといって、必ずしも全員がランニングコストを抑えることができる訳ではないので注意が必要です。場合によっては乗り換えを行わずに一般SIMカードを利用していた方がランニングコストを抑えられる場合もあります。
格安SIMカードに乗り換えを行って大きな恩恵を受けられるのは、通信データを多用し電話通信を使うことが少ない方です。インターネットを利用する頻度が高いほどメリットを得られる傾向にあります。
逆に通信データよりも通話回線を利用して音声通信を多用する方には、メリットが見出し難いともいえます。データ通信のみの契約を行った場合でも、データ通信アプリを利用した音声通話は可能ですので、通話回線を使用しないというユーザも増えてきています。
音声通話の方法を従来の通話回線からデータ通信へと、音声通信の利用方法を転換できる方にとっては、格安SIMカードへの乗り換えは非常に有効と言えるでしょう。