利用しないとわからない!格安SIMの本音
圧倒的なコスパの高さ
おそらく、格安SIMを現在使用している方だけでなく、これから格安SIMへの乗り換えや移行を検討している方の全てが重視している点が、料金についてです。NTTdocomoを初めとする大手キャリアも、従来と比べてより割安感のある料金プランや特典、割引サービスなどを導入する中、依然として格安SIMが誇る圧倒的な低料金は大きな魅力となっています。
大手キャリアと格安SIM双方の料金について一例を挙げて比較してみると、例えば1ヶ月当たり3GBというデータ通信量の制限を設けている音声通話付きのSIM契約で、大手キャリアが月額6,000円以上の料金設定を行う一方、格安SIMであれば同一内容のプランが月額2,000円弱という低料金で利用可能。単純計算でも3分の1という圧倒的な安さで利用できることになります。この点が、格安SIMが今日利用者数を急増させている大きな要因といえます。
通信速度は携帯キャリアに劣る
大手携帯キャリア各社と比較してその圧倒的な料金の安さが際立つ格安SIMですが、必ずしも携帯キャリアと比べて良いことづくめというわけではありません。中でも、携帯キャリアと比較して大きく劣ると言われるのが、通信速度です。
大手携帯キャリアが提供するSIMを使った通信は、時間帯を問わず安定して高速通信が可能ですが、格安SIMでは、特に17:00~21:00などのいわゆるピークタイムと呼ばれる時間帯を中心に速度の一時的な低速化が発生します。
これはプランの契約内容やデータ通信量などに全く関係なくその格安SIMキャリアを利用する全てのユーザーに発生する状態で、格安SIMならではの弱点といっても過言ではありません。深刻な場合、平均1Mbpsも速度が出ないことも多く、YouTubeなどのストリーミング動画の視聴などで大きく影響を受けるでしょう。
なぜ、こういった状態が発生するのか?それは、格安SIMが利用する回線に秘密があります。大手携帯キャリアの回線と格安SIMで提供されている回線は本来であれば同一ながらも、格安SIM業者に提供されている回線の太さは大手キャリアと比べ圧倒的に細いため、単一時間内で通信できるデータ容量にも制限があります。
また、この細い回線を全てのユーザーで共用しているため、ユーザーによる通信が急増するピークタイムに限り、低速状態が発生するというわけです。このため、とにかく通信速度の安定した高さや品質を求める方には、格安SIMは決しておすすめできるサービスではないということを事前に把握しておく必要があります。
付帯サービスが少ない
格安SIMを提供するキャリア会社も様々なサービスを導入していますが、依然として大手携帯キャリアと比較すると、その内容は劣ると言わざるを得ません。特に大きな差が見られるのが、通話定額サービスです。
大手携帯キャリアの全てが完全な通話定額サービスを導入している一方、格安SIMでは5分間や10分間など時間制限が設けられた通話定額サービスに留まっているのが現状。ただし、今後、格安SIMでも時間制限を施さないタイプの通話定額サービスの導入の可能性が十分に考えられるので、以前と比べるとキャリアとの明確な差とは見なされません。
格安SIMで注意すべきポイント
アフターサービスの範囲が限られている
特に高齢者など機械の操作が苦手という方に求められる格安SIMならではの注意点となるのが、アフターサービスの範囲についてです。例えば、駅前や繁華街などお店が建ち並ぶエリアに足を運んでみると、必ず1軒以上は携帯キャリアの支店やサービスショップを目にすることができます。
一方、格安SIMを提供しているキャリアの多くがこういった支店やサービスショップを設けていないことが多く、なんらかの問題が発生した際には、電話やネットを使った対応に限定されています。
電話やネットだけで解決できる問題であれば心配ありませんが、実際にスタッフと対話しながら解決する必要があるトラブルに見舞われた際には、解決まで異様に時間や手間が掛かってしまう可能性もあるため、こうした点で格安SIM利用時には注意が求められます。
キャリアメールが使用できない
キャリアメールというメールシステムをご存知でしょうか?NTTdocomoであればdocomoという名称が、auであればezwebなど特定の文字列を含んだメールアドレスがキャリア側から提供されており、このメールアドレスのことをキャリアメールといいます。
インターネット上で提供されている通販サービスやSNSなど特定のサービスの中には、年齢認証や個人認証を行う目的からこのキャリアメールの提示を義務づけている所があり、キャリアメールを有していないとサービス面で一定の制限を受ける可能性があります。
当然ながら、大手キャリアと直接契約しない格安SIMについては、原則としてこのキャリアメールアドレスが提供されないため、こうした特定のネットサービスで必然的に制限を受けます。ご自身が利用しているネットサービスでキャリアメールが必須でないかどうか、事前に確認しておきましょう。
乗り換え時に発生する不通期間
大手携帯キャリアのSIM契約であれば、各キャリアの店舗で直接契約することで直ちに乗り換え後の利用が行える反面、格安SIMのほぼ全てで、Webを使ったオンライン契約と配送によるSIMの提供が実施されています。
このため、今契約中のキャリアからMNP制度を使って格安SIMへと乗り換えする場合、キャリアが提供する格安SIMが手元に届くまでの一定期間、通信が一切できなくなってしまうという問題があります。
「大手携帯キャリア→大手携帯キャリア」や「格安SIM→大手携帯キャリア」という形での乗り換えであれば問題ありませんが、乗り換え先が格安SIMの場合はほぼ確実に数日程度の不通期間が発生するので、携帯通信が絶対に必要という方は、サブ機の準備や別の通信手段の活用など事前の準備が求められます。
こんな人に最適!格安SIMのメリット
とにかく通信料金を安くしたい
格安SIM最大の魅力といえば、やはり料金の安さを無視することはできません。携帯キャリアの同一サービスと比べても圧倒的な価格の安さは、毎月の携帯に掛かるコストを大幅に減らすことができるでしょう。
また、特に日頃から携帯電話を待ち受けの連絡手段としてしか利用していない方ほど、格安SIM利用による恩恵が高くなります。更に、家族単位で複数台携帯電話やスマホを契約している方にも、家族割引制度の活用などを通じたコストカット効果が得られます。
主な連絡手段がSNSや通話アプリの人
携帯電話やスマホを所有していながらも、電話機能は利用せず、基本的にtwitterやfacebookなどのSNSであったりLINEなど無料の通話アプリしか利用していないという方にも、格安SIMは最適なサービスです。
これらのサービスは全て、原則としてデータ通信しか利用していないため、格安SIM最大の弱点となる通話料が発生しません。また、これらのサービスはデータ通信量自体も少ないため、格安SIMごとに設定された上限枠に掛かる可能性も低く、高速通信と定額を維持したまま利用できるでしょう。
すぐにMNPで移転したい人
大手携帯キャリアの契約でもしばしば問題として取り上げられているのが、「2年縛り」といった移転に制限を設ける制度の存在です。この制度を無視して一方的にキャリアを移ってしまうと、事前の契約に定められた違約金を支払う必要があります。
一方、格安SIMの多くがこうした移転に関する縛りを設けていないほか、通話付きプランにのみ設けられている縛りについても3ヶ月~6ヶ月と短期間なので、頻繁にキャリアを移転することが多い方に最適です。
こんな人には不適格!格安SIMのデメリット
格安SIMには、多くのメリットが存在する一方で少なからずデメリットも存在しています。中でも、頻繁に相手の電話番号に直接電話する音声通話を利用する機会が多い方は、格安SIMならではの低料金という恩恵を受けることができないため、向いていません。
格安SIMの多くがデータ通信の定額に特化している一方で、音声通話に対する定額は未だ発展途上となっていることから、メールやネットなどのデータ通信ではなく音声通話を多用する方は、大手キャリアの利用に軍配が上がります。