格安SIMの簡単な説明とそのサービス
スマートフォン利用者の大半は、電話としてよりもネット通信端末として利用していることが多く、そこで従来のキャリア(docomo、au、Softbank等)からデータ通信料の安いSIMに乗り換えることで、日々の通信料を節約しようというのが格安SIMの主な導入目的であるといえるでしょう。
既存キャリアより大幅に安い大容量データ通信プラン(10~30GB)も会社によっては用意されており、「とにかく安くデータ通信量を増やしたい」という目的で格安SIMに乗り換える人もいるはずです。それ以外でも
- LINEやFacebookなどの指定SNSを使う時だけは通信量としてカウントしない「カウントフリー」
- 自宅のネットプロバイダと同じ会社に揃えることで適用される「値引き」
- 格安SIM会社が運営しているショッピングサイトなどで使うことができる「ポイント付与」
など、会社ごとに魅力的なサービスがあるのも特徴の一つです。ですが「料金の安さは魅力的だけれども、どうしてもキャリアメールが必要だから乗り換えできない」「格安SIMについては知っているけれど、ガラケーだから関係ない」という方も少なからずおられると思います。今回はそんな方々も格安SIMを導入できる、少し変わった方法をご紹介いたしましょう。
既存の契約を残したままキャリアSIMと格安SIMを入れ替えるやり方
docomoの場合を例としますと、「ドコモメール」アプリ自体はWi-Fi環境下でも利用可能です。つまりdocomoの電話番号を通さなくても、docomoの契約とdアカウントさえ持っていればメール自体は送受信できるのです。
手順
まず事前に各キャリアショップに出向くか、ネット経由で使用中のプランを「最も安いプラン」に変更します。その際docomoなら「SPモード(メール送受信に必要)」の契約だけは維持したままにしておいて下さい。そして格安SIMは「音声通話プラン」で契約し、届いた格安SIMとキャリアのSIMを入れ替えます。
docomoで購入したスマートフォンなら「ドコモメール」アプリが入っていますので、そちらを利用すればキャリアメールの送受信が行えます。その際環境によってはアプリ側のWi-Fi利用設定やdアカウントが必要な場合があるので、そちらのチェックも忘れないようにして下さい。
メリットとデメリット
この方法ならキャリアメールを使いながら、格安SIMに乗り換えたスマートフォンを運用することができます。デメリットとしては一般的な乗り換え方法と異なるため「電話番号が変わってしまう」という点です。
キャリアのSIM自体は取り外したまま使用しないのですが、キャリアメール受信のために契約自体は必要なので、MNP(ナンバーポータビリティ)を利用して電話番号を格安SIMに移行することができないことと、使用しないキャリア通話分の料金も掛かることがネックになっています。
デュアルSIM対応のスマートフォンを利用するやり方
デュアルSIMとは一つのスマートフォンに2つのSIMを挿して利用できる機能を意味します。その機能を使うことで電話を掛けるときはキャリアSIM、インターネット閲覧時は格安SIMを利用することで元の電話番号と格安SIMによる低料金のメリットを同時に生かすことができます。
手順
まずキャリアで「一番安いプランかつメールの送受信が可能になる契約」に変更するところまでは前述と同じです。そして自分の使用したい格安SIM会社の「データ通信用SIM」を契約しそこでデュアルSIM対応スマートフォンが販売されていたらセットで、無ければ別の場所で対応スマートフォンを購入します。購入した新しいスマートフォンに、キャリアのSIMと格安SIMの両方を挿し、必要に応じて変更するか自動で切り替わるか設定すれば完了です。
デュアルSIM機能の違い
デュアルSIM対応のスマートフォンにもいくつか種類があり、2つのSIMをどの程度同時に扱えるかの度合いによって便利さが異なります。
- シングルスタンバイ対応
通話、データ通信それぞれを行う際は手動で使用するSIMを切り替える必要があり、格安SIMに切り替えてのネット閲覧中は電話の待ち受けができないなどの欠点があります。切替の手間もあることで頻繁に電話の発信や着信がある人にとっては実用的ではありません。
- デュアルスタンバイ対応
格安SIMで、インターネットを使用している最中もキャリアSIMで電話の着信を受けることが可能になっています。大抵の機種はデータ通信用SIM、通話使用SIMをそれぞれ指定できるので面倒な手動切替をする必要もありません。
もちろん格安SIM側も、音声通信対応SIMにすることによって二つの電話番号を併用することも可能です。ただし電話中はデータ通信ができないという欠点がありますのでご注意ください。
- デュアルアクティブ対応
常に両方のSIMが使えることを意味し、電話中にもう一つのSIM側を使って通信することも可能になっており、端末が対応していれば電話中にネット接続をして調べものをすることも可能です。
メリットとデメリット
スマートフォンをデュアルSIMに対応したものに変更する必要こそありますが、今までの電話番号やキャリアメールのどれも捨てることなく利用できる非常に便利な運用方法です。ただしキャリアメールの受信に関しては少し条件があり、docomoを例にするとdアカウントを取得した後ドコモメール以外のメールソフトを別途用意し、送受信のために少し難解な設定を自ら行う等の必要があるのでご注意下さい。
モバイルルーターを利用するやり方
基本的にスマートフォンを自宅で利用する際は、自宅のWi-Fi(無線LAN)に繋いでキャリア会社の回線を使わずにインターネットに接続する人が大半だと思います。そうすることでキャリア回線使用時のデータ通信量を抑えることができるという理由からなのですが、外出先でも同様のことができれば、使い慣れたスマートフォンを変えることなく、電話番号も維持でき、個別に面倒な設定をする必要もないのです。
その外出先でWi-Fi環境を提供してくれる機器を「モバイルルーター」と呼びます。スマートフォンや旧来の携帯電話同様、SIMを挿すことでキャリアの回線を利用してインターネット接続し、家庭内のWi-Fiルーターのように複数の端末を同時に繋ぐことが可能です。
手順
まずキャリア側のプランを、「キャリアメールの送受信可能な一番安いもの」に変更するまでは前述した方法と変わりありません。その後は普通に「データ通信用」の格安SIMを契約し、モバイルルーターを購入してそれに格安SIMを挿して、通常のWi-Fiルーターと同じように手持ちのスマートフォンなどと接続設定を行います。
後はいつも使っているスマートフォンと一緒に持ち歩き、外出先でインターネット接続をする際にモバイルルーターの電源を入れてWi-Fi経由で接続するだけです。
メリットとデメリット
メリットはスマートフォン以外も外出先でネット接続ができるので、3DSやPS Vitaの様な携帯型ゲーム機、Wi-Fiのみ対応のタブレット端末、もちろんノートパソコンなども利用でき、テザリングでは難しい複数端末の同時接続もすることができます。
この方法なら旧来の携帯電話、いわゆるガラケーを使用している人も外出先でノートパソコンやタブレットを用いて仕事や調べものが可能になるので、格安SIMの恩恵を受けることができるのです。デメリットとしては格安SIMの「カウントフリー」サービスの適用外になることと、モバイルルーター側の電源を入れ忘れると通常通りキャリアの回線を利用してネット接続されてしまう可能性があることです。
この方法を用いるときはモバイルルーターの持ち忘れをしないように気をつけ、ネット接続前にスマートフォン画面にWi-Fi用アンテナが立っているか確認を忘れないようにして下さい。
こんな感じで単純な乗り換え以外の方法や、ガラケー利用者でも格安SIMの恩恵を受けることができるので、自分にあった利用方法をぜひ見つけ出して下さい。ただその際は必ずそれぞれの端末で利用可能な電波周波数と、SIMのサイズだけは間違えないようお気を付け下さい。